松田聖子に憧れて」第六話
三人が始めてあったのは秋の撮影現場であった。松浦主演のドラマはこの日で撮影を半分終えるはずであった。
夜のシーンは昨日中にとってあったので、今日は四時過ぎには撮影が終わった。
エキストラや現場関係の人が自分の周りを相変わらずハエのように纏わり付いて来る。何十人しかいないのだが、ウザさ倍増で百人近くに思える。(ここで松浦シャワーへ)
シャワーを終え、ロッカーから着替えを出すと、なにやら広告のチラシが入っている。
(だれ?スーパー肝八売り尽くしセール?意味がわからない。)
でも彼女は、チラシに乗っていたインド産マグロを見て、今日はお寿司にすることに決めた。
もう一度マグロの切り身の写真を見たくなり、広告を手にした時、裏に何かマジックか何かで文字が書かれている様なシミを見つけた…。松浦の唇が少しだけ笑みを浮かべた。
松浦様へ
突然のお手紙お許しください。あなた様のご活躍、ブラウンカン越しに拝見させてもらっています。何を隠そう私はあなたのファンです。
でもここで言い直さなければいけないのは、私のあなたに対するファンというものはオナペットとしてのものであります。なぜなら私の永遠のアイドルは松田聖子だからです。
こんなこと唐突に言うのはとても失礼だと思います。しかし、私はそこらへんの腐った蛆虫どものようにあなたに媚を売ったり、下心があるわけではありません。ただ一緒にある計画を実行したいと思い、このように手紙を書きました。
あなた様は以前、何かのプロフィールかインタビューで、私と同様に松田聖子が好きであると聞きました。そこで私は国民的アイドルであるあなた様との計画を思いついた次第であります。私は、………….。
ここから先の内容は、差出人の性癖や、小学校の成績などというくだらないものであったので、読むのを途中でやめた。半信半疑であった。結局計画の内容まではそこには書かれていなかった。
ただ松浦の頭に引っかかったのは“松田聖子”という言葉だった。
松浦は松田聖子に憧れてこの世界に足を踏み込んだ。汚い汚いこの世界に。
手紙の最後には、差出人の連絡先がインク無くなりそうなペンで力強く書いてあった。
松井秀喜 090−1×○8−△63× つづく