耳鳴りが痛い
世界、それ即ち風。
ボクは風に逆らい風化した銅。
「ここはどこ?私は誰?」と言いたい、忘れたい、呆けたい。
沢山の人間が行き来する「人生」の交差点で立ち止まりしゃがみ込んでしまった僕。もう一度歩くには力がない。
止まらなければよかった・・・。慣性運動は楽で自分の意思はいらなかったのに。
乗り物を使おう。今日は深酒しすぎた。
「ぐるじいよ〜、だれがお水ちょ〜だ〜ぁあい×3」隣の部屋から聞こえてくるババアの呻き声を目覚ましに
「頭が痛いの!」と一人演技をして跳ね起きる。これが小さな小さな僕の少ないプライバシー。すっと我に返り「今日の寝起きの演技」の得点をノートに記す。「おっ、これで平均、78点か」わざとらしくテヘヘと照れ笑いをしながら書く点数は遂に78点まで高まってきた。因みに最初の演技の点数は25点であるから皆にもこの偉業を大いに讃えて欲しい。しかし、讃える云々の前にこれは全部自分が審査しているので基準は自分の頭の中にあるのだ。つまり、皆が讃えるには世界が小さすぎる、いわば完全なる自己満足の世界。それはもう すばらしき世界。
とは言うものの、これは非常に恐いことでもある。一人の世界と言うものはこのように分かり易い二元論からなっている。この二元論は百年前から続く世間と自己矛盾の二元論の究極体であると僕は考えている。因みにこのことについても僕が一人で考えている時点で基準を自分にした二元論から・・・・・ということも自分が思っているという・・・二元論・・・というこ・・・
聴いてください。日本を代表する歌姫、中島みゆき、の替え歌をする僕で、『時代』。
廻る〜まぁわる〜よ、頭〜が廻るぅ
喜びぃ悲しみくりかえ〜し
今日はわ〜かれ〜たじぶ〜ん自身だけ〜ど
うまれかわってぇぇしゃがみこ〜むよ〜
きりが無いのでこの辺でひと段落、といった具合に天井を眺め、下に目線を向けた瞬間!切り替わる。
「今日の音楽のコ〜ナ〜!え〜っとペンネーム、ジュノンボーイさんのリクエストで『マミー、DON’T暗い』、いってみよう!」
と、様々な独り言を言ってみる。楽しい!「マミーDON’T暗い」がフルボリュームで鼓膜をつんざく!
朝は好きだよ。
だって自由があるから。
誰も起き方に文句は言わないもんね。
四畳一間の僕のアパートのそんな朝は、今日も又うるさいババアの呻き声で始まり、フルボリュームのマイフェイバリットソングで幕を下ろすのである。